元、気象庁職員が教える!沖縄の湿度について

元、気象庁職員が教える!沖縄の湿度について
otenkitarou

元気象庁○×△です。
皆さん、沖縄の夏ってカラッとして湿度が低いイメージがありませんか?

私の友人でもそのように言ってる人は多いのですが、いえいえ、諸島の周りは海に囲まれているわけですから、一年を通して湿度は高めです。

カラッとしたイメージなのは、沖縄の夏は陽射しが強すぎるから、湿気よりも陽射しが肌に突き刺さる感覚の方が上回って、そのように感じるのでしょうね。

なので、特に観光地においては、本当の観測値なんかよりも肌感覚の方がよっぽど大事なんだな~と思う今日この頃です。

湿度は高い沖縄

湿度は高い沖縄

そもそも空気というのは、気温が高いほどたくさんの水分を含むことができて、逆に、気温が低いほど少しの水分しか含むことができない性質なので、一年を通して気温の高い沖縄では、必然的に湿度は高くなります。

逆に、広大な砂漠地帯の場合は、当然、気温は高いのですが、海や川が無く砂しかありませんので、空気中の水分がとても少なく乾燥しており、日向は陽が射して暑いけど、日陰に入るとジメジメ感がなくサラッとした感覚になるわけです。

沖縄の冬場

沖縄の冬場

では冬場はどうでしょうか。

冬になると、地軸の傾きにより北極地は太陽から遠ざかっていきます。
このため、ユーラシア大陸には太陽エネルギーが届きにくくなり、しっかりと冷やされ、空気は重く冷たくなり、背の低い地面を這うような「シベリア高気圧」が誕生します。

このシベリア高気圧が日本列島まで北から冷たい風を吹き付けてくるのです。

シベリア高気圧が運んできた冷たい北風は、当然ながら日本海の上を通るわけですが、その際、海からの水蒸気を拾い上げ、それが山に風がぶつかって山頂で雨雲となり、日本海側では大雪が降ったり冬でも雷が鳴ったりします。

沖縄の場合も東シナ海の上を北風が通るわけですが、気温も高いのでさすがに雪は降りませんが、雨が降ったり雷も鳴ったりします。

一方、太平洋側では、山に風がぶつかった一部の風が、山から陸上へ吹き降ろされ、乾いた空気(フェーン効果)となるため、乾燥して晴れる日が多くなります。

あっ、そうそう、沖縄も冬になると、ちょくちょく乾燥注意報が発表されることがあるのですが、そもそも発表の基準値が最小湿度50%以下という高めの設定なので、この基準値から見てもやはり沖縄は湿度が高いと言えますね。

以上が、湿度に関わる大まかな話しなのですが、もうひとつ、ちょっと面白い話をしたいと思います。
東京都内にある「成蹊高等学校」では、毎朝9時に肉眼で学校から富士山の見える日を数えているそうです。

東京は見えやすくなっていた

その結果を見ると、昨今では富士山の見える回数が明らかに増えていて、この要因は大気汚染が改善されて空気がキレイになったのと、空気が乾燥しやすくなったとの見解がホームページ上に書いてありました。

東京から富士山は見えやすくなっていた

昔と比べると、東京から富士山は見えやすくなっていたのですね。

気付きませんでした。

このうち大気汚染の改善については、技術向上によって汚染物質が空気中へ排出されなくなったわけですが、一方の空気が乾燥しやすくなったとはどういうことでしょうか。

都市部では、都市計画等で昔と比べて、アスファルトやコンクリートに覆われている所が多くなり、そのため、土や緑地からの水分蒸発が減ってしまい、結果的に空気が乾燥しやすくなったと考えられます。

お風呂に入るときを想像してみてください。

浴槽からの蒸気で白くなって見えにくくなりますよね?
自然界も同じように湿度が高いとき(夏)は遠くの物は見えにくくなって、乾燥しているとき(冬)は遠くの方まで見えやすくなります。

otenkitarou

話の途中ですが、ここでちょっと一息入れましょう。
文字だらけで飽きてきたので出てきました!

このため、東京都市部の空気が乾燥しやすくなったことにより、この学校から富士山の見えた回数が増えたわけです。

ただ、地球全体で見ると温暖化が進んでいますので、気温が上昇し、空気中の水分も多くなっています。

アスファルト等に覆われている所が全て乾燥しやすくなるのではなく、東京のような都市化率の大きい都市ほど局地的にそのような傾向が大きいということです。

毛髪湿度計

当然ながら、気象庁では毎日の湿度を観測しています。

湿度の測定方法は、今となっては電気式で自動的に行いますが、昔はそうじゃなかったです。
「毛髪湿度計」といって、人の髪の毛を使用していました。

otenkitarou

ちなみに、私はクセ毛です!
ドン!

参考:https://www.jma-net.go.jp/sapporo/bosai/bosaikyoiku/tenki/t10_shitudokei.html

湿度が高いと髪の毛にボリュームが出たり、くね~っとして、

「あーーもぉっ!」ってなりますよね。

実は、人の髪の毛は湿度が高くなると伸びる傾向にあります。

その原理を応用したのです。

毛髪湿度計は、ネジ式時計のように、ネジを回すと記録紙を巻いたローラーが少~~しずつ動き、髪の毛の伸び縮みの変化をインク針がプロットして記録します。

しかも、いろんな髪の毛で実験をした結果、なんと!

金髪がすごく安定していて再現性がとても良かったらしいのです。

otenkitarou

そっか~やっぱフランス人のパツキンか・・・シビれるな~
ちなみにこの女子高生みたいな脱色した髪は違うと思います。多分!
では今回はこんな感じでさよなら~!

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この記事を書いた人

元、気象庁のotenkitarouです。

仕事で得た知識など気象や自然の事の疑問に思ってる事などを、紹介していこうとしてるイケメン

 

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