気象庁OBが教える!台風や爆弾低気圧について

気象庁OBが教える!台風や爆弾低気圧について

皆さんもご存知のとおり、沖縄には毎年のように台風がやってきます。

石垣島の海人やマリン関係の人、近所のおじさんとかも台風予想が大好きです。

ということで、今回はいろんな人の意見に惑わされないように台風を正しく学んで正しく備えましょう!

ちなみに「元、気象庁職員」って長いので今回から「気象庁OB」って呼び名に変えました。

よろしくお願いします。

目次

サイクロン、ハリケーン、台風の違い

台風のほかにも、サイクロンとかハリケーンとか聞いたことがあると思うのですが、それぞれの違いって何?ってよく聞かれます。

otenkitarou

あ、よくじゃないです。
たまにです。
盛りました!

実はこの3つ構造は全部同じです、高気温のときに海面が熱せられて、蒸発した水分が上昇して発達するもので、発生した場所(海洋)の違いだけで呼び名が変わるんです。

このうち、
サイクロンは南太平洋で!ハリケーンは北東太平洋で!

発生する熱帯低気圧のことを言い、これらは日本から遠く離れていて直接影響しませんが、

台風は北西太平洋上(だいたいフィリピン東海上)で、

発生する熱帯低気圧と定義されているため、日本に影響するのはこの台風になるわけです。

とても厄介な台風の性質

この台風なんですけど…とても厄介な性質を持っています。

普通、地上よりも上空の高いところの方が風は強いですよね。

なので、上空の風が強かろうが、地上の風はそこまで強くないので、外へ洗濯物を干したり、楽しくお出掛けもできるわけです。

otenkitarou

ところがドッコイ!
ごめんなさい!大きな声でちゃいました!

台風はこれが逆になっちゃって、上空の高いところは実は風が弱く、地上は風が強くなるんです。

え~!そうなの!と思うかもしれませんが、私に文句言わないでくださいね。
台風さんに言ってください(笑)

これは、細かい説明は省きますが、中心の気温や気圧低下量の関係から上空よりも、地上の方が反時計回りの回転が強くなるので、人の住む場所に、広い範囲で暴風をもたらすわけです。

今となっては、技術向上によって台風の進路や勢力の予想精度は良くなっていますが、昔はスパコンや気象衛星も無く、台風の状況をなかなか把握できませんでした。

そこで活躍したのが、富士山頂で活躍した「富士山レーダー」で1964年~1999年まで運用していました。

そもそも気象レーダーは、1954年大阪を皮切りに順次整備を進めていましたが、その5年後、1959年に伊勢湾台風が上陸してしまい、死者・行方不明者が5,000名を超える甚大な被害をもたらしました。

この伊勢湾台風を機に、本州へ来る台風をもっと早く察知するため、高い所から本州全域の雨の状況を見るために、日本一高い富士山頂へ気象レーダーを設置したわけです。
そんな歴史があるわけです。

爆弾低気圧?(急速に発達する低気圧)

冬や春先になると、北海道や東北地方で爆弾低気圧が発生します。
先に言っておきますが、この「爆弾低気圧」という言葉は気象庁では使用していません。
「急速に発達する低気圧」と表現されています。

「爆弾」がそもそも気象用語(お役所として)として相応しくはありません。

ただ、緊迫感としては、この「爆弾」という表現、非常にインパクトはあって、こういう表現こそ分かりやすくて防災活動に活かされるんじゃねぇの?

と思う今日この頃です。

「何!爆弾低気圧!?よし避難するぞ!」っ思いますし、
たとえ避難まで行動できなくても心構えはしっかり持てますよね?

これが「今夜、急速に発達する低気圧が云々…」

otenkitarou

いやいや、これ緊迫感まったくありませんからっ!

そもそも、自然に広がる言葉というのは、そっちのほうが分かりやすいという証拠なので、とっとと変えてもいいかも知れませんね。

では、あえて「爆弾低気圧」というのは、台風のように非常に威力のある低気圧なのですが、どうして夏に発生しないのでしょうか?

実は、この爆弾低気圧と台風は発生原因そのものが違うからです。

台風は、海面が熱せられて蒸発した水分が上昇して発達しますが、爆弾低気圧は、北からの冷たい空気と海からの暖かい空気がぶつかって、その温度差により回転力が生まれ反時計方向に回りながら発達していきます。

冷たい気団と暖かい気団がぶつかる面(簡単にいうと北風と南風がぶつかる感じ)を前線というので、爆弾低気圧には天気図上に必ず前線が引かれます。

これが夏の場合だと、北からの風も海からの風も両方暖かいので、温暖差がほとんど無いため、回転力は生まれません。

北の冬の爆弾低気圧

北の冬の爆弾低気圧

冬の場合だと、北からの風はとても冷たく、海からの風は冬でも暖かいので、両者に温度差があるため、強い回転力が生まれて、爆弾低気圧へと発達していくのです。
なので、夏には発生しないのです。

しかも、台風とは違って暴風のほかに雪もあるため、集落の孤立、交通路の麻痺、物資輸送の遮断など、生活に大きなダメージを与えてしまいます。

台風も凄まじい被害をもたらしますが、この爆弾低気圧も同じような勢力を持っていますし、尚且つ低温で雪まで降らすわけですから、

台風の方が怖そうなイメージありますが、こちらの爆弾低気圧の方が実際は台風よりヤバいです、台風は建物に隠れれば停電しても問題ないですが、雪がプラスなので恐ろしいです。
毎年車の中で冬死や、低体温などその被害はハンパないです。

北海道では平成25年3月に発生した暴風雪によって、死者9名、負傷者8名、避難者741名、車の立ち往生929台という甚大な被害が発生しています。

いずれの場合も、不要に出かけたり、中には興味半分で海や川へ行ったりする人がいます。

otenkitarou

絶対にやめてください、マジ死にますから。

こんなに強力な威力破壊力なので爆弾低気圧だけど、名前は何か変えた方が良いのではと勝手に思っています。
北の爆弾・・・怒られますね。
寒台風、猛烈寒波、、、

そんなわけで、今回は台風と爆弾低気圧を紹介しました。

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この記事を書いた人

元、気象庁のotenkitarouです。

仕事で得た知識など気象や自然の事の疑問に思ってる事などを、紹介していこうとしてるイケメン

 

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